アルツハイマーのご家族の方へ
今日は 初めて出会ったアルツハイマーの方の
お話をしましょう。
今のような 認知症ではなく
痴呆といわれていた頃です。
ある日 ケアマネと共に 上品な老夫婦が
デイケアの見学にきました。
ご主人は80前半で、背広に身を包み ケアマネの説明を
ひとつひとつ 頷きながら 聴いているようです。
その横で奥さんが
ニコニコと私達や部屋の様子を眺めていました。
一見 どちらが悪いのか 分からないほど
お二人とも お元気で 不自由を感じさせませんでした。
数日後その奥さんが
デイケアを利用することになりました。
部屋に入るなり、丁寧に職員に挨拶するのですが、
落ち着きがなく 席に着いておれず、
室内をウロウロ歩き回っています。
職員の目を盗むように エスケープしそうになったり
机の上の物を自分の鞄に仕舞い込んだり
思うままに過ごされるのです。
今は 認知症やアルツハイマーの理解や関心がありますが、
当時は、一般的には ほとんど未知の病気でした。
時期同じ頃、私の義母にも異常行動が目立ち始め
この二人の常軌を逸脱した行動は
そののち 私に大きな試練を与えると同時に
リハビリ人生の大きな転換期を作ることになるのです。
一口に認知症といっても 生活環境などの違いから
表面にでてくる行動は様々です。
しかし あきらかに二人に共通するものがありました。
それは「自分の世界を持っている」ことです。
この自分の世界は
現実離れをしていたり 飛躍していたり
周囲とのトラブルの原因にもなり、
家族を苦しめていました。
私は 今目の前にいる
現実離れした二人を受け入れるためには
この二人の「世界」と向き合い
アルツハイマーという病気を
しっかり直視することから始めました。
そして 色々なことがあり、色々なことを乗り越え
義母を見送った今 言えることは
義母は ホントは自分でも気がついていたのでは。
以前の自分と 今の自分が違うことを
それを うまく伝えられず
その人なりの表し方をしていたのではと。
ところで、デイケアを通所していた奥さんですが
まもなくご主人が亡くなられ、娘さんも病気になり
お孫さんがお世話をすることになりました。
そのため デイケアは中断となり
その後はお会いすることは ありませんでした。
しばらくの間でしたが、この奥さんとの時間は
私の人生の中で濃厚な そんなひと時でした。
認知症になった時
年老いた自分と若い頃の自分のハザマからくる 軋みが
時には 大きな揺れとなり
怒号となってでてくると思います。
出来る事なら
周りの人たちがこの病気を少しでも理解し
歩み寄れれば お互い少しだけでも楽になるかもしれません。
たとえ それが一時的なものであっても。
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