デイケアで後味の悪い別れをしてしまいました

今日は、後味の悪い別れ方をしたおじいさんの   お話しをしましょう。 コウジおじいさんは 奥さんを数年前に亡くされ 古い家で一人暮らしをしていました。 とても寡黙で昔気質のおじいさんが  話かけても 「うん」「なん」の返事だけ 中々 おじいさんと近づくことはできませんでした。 でも リハビリですから  言葉がなくても 体操して頂くことで 少しずつ コミュニケーションを取ることが出来ました。 ポツリ ポツリ と ご自分の事を話されるようになったおじいさん 奥さんが亡くなってからは したこともない料理を始め 始めて動かした洗濯機を使い 慣れない掃除も始めました。 でもうまくいかず 細い体はさらに 細くなり 風が吹いたら 倒れそうな位痩せていました。 リハビリを始めて 表情は取り戻しつつあったのですが 体力は思うように回復できず 入浴時は そのふらつきが 特に目立ちました。 当時 うちのデイケアでは 入浴リフトがありませんでした。 そのため 手引き入浴のみ 入浴介助をするスタッフににとって コウジおじいさんの介助は 戦々恐々です。 そのため 度々スタッフから相談を受け 体力を 未だ回復できないジレンマと  体力のない利用者さんに対応できない設備不足 事故との背中合わせの介護に焦りを感じていました。 考えた末 ケアマネにその旨を正直に話し 判断を仰いだ結果 転所することになりました。 そして なぜだか おじいさんには  転所することは 伝えられていないのです。 デイサービスですから リハビリはありません。 おじいさんにとって 最後のリハビリとなった その日 一通りの体操が終わり いつものように、数分雑談し 「これで終わります」と一礼した時 おじいさん ゆっくり立ち上がり 片手をあげ「またな」と言われたのです。 初めてでした。  この時 自分のしたことが とんでもない事 だった事に 気がついたのです。 自分達の安全を守るために  おじいさんが 楽しみにしているデイケアを  頑張っているリハビリを 取り上げたような そんな罪悪感にさいなまれました。 「またね」と言われ 「違うんです。今日が最後なんです」と言えない辛さ なぜ変わることを口止めされていたのか はっきり 覚えていません。 これも  色々な方の色々な思いが錯綜していた悲しい現実なんでしょう。 どんな事情があるにせよ 私は コウジおじいさんに ウソをついたのです。 最後のリハビリの日 苦笑いで 会釈をした そんな心苦しい思い出 ちゃんと「さようなら」と言えなかったことは 今でも 申し訳なく思っています。

今日は、後味の悪い別れ方をしたおじいさんの
お話しをしましょう。

コウジおじいさんは 奥さんを数年前に亡くされ
古い家で一人暮らしをしていました。

とても寡黙で昔気質のおじいさんが
話かけても 「うん」「なん」の返事だけ
中々 おじいさんと近づくことはできませんでした。

 

でも リハビリですから
言葉がなくても 体操して頂くことで
少しずつ コミュニケーションを取ることが出来ました。

ポツリ ポツリ と
ご自分の事を話されるようになったおじいさん

奥さんが亡くなってからは したこともない料理を始め
始めて動かした洗濯機を使い 慣れない掃除も始めました。
でもうまくいかず 細い体はさらに 細くなり
風が吹いたら 倒れそうな位痩せていました。

 

リハビリを始めて 表情は取り戻しつつあったのですが
体力は思うように回復できず
入浴時は そのふらつきが 特に目立ちました。

当時 うちのデイケアでは 入浴リフトがありませんでした。
そのため 手引き入浴のみ
入浴介助をするスタッフにとって
コウジおじいさんの介助は 戦々恐々です。

そのため 度々スタッフから相談を受け
体力を 未だ回復できないジレンマと
体力のない利用者さんに対応できない設備不足
事故との背中合わせの介護に焦りを感じていました。

 

考えた末 ケアマネにその旨を正直に話し 判断を仰いだ結果
転所することになりました。

そして なぜだか おじいさんには
転所することは 伝えられていないのです。

 

デイサービスですから リハビリはありません。
おじいさんにとって 最後のリハビリとなった その日

一通りの体操が終わり いつものように、数分雑談し
「これで終わります」と一礼した時
おじいさん ゆっくり立ち上がり
片手をあげ「またな」と言われたのです。

 

初めてでした。

この時 自分のしたことが
とんでもない事 だった事に 気がついたのです。

自分達の安全を守るために
おじいさんが 楽しみにしているデイケアを
頑張っているリハビリを
取り上げたような そんな罪悪感にさいなまれました。

 

「またね」と言われ
「違うんです。今日が最後なんです」と言えない辛さ
なぜ変わることを口止めされていたのか
はっきり 覚えていません。

 

これも
色々な方の色々な思いが錯綜していた悲しい現実なんでしょう。

どんな事情があるにせよ
私は コウジおじいさんに ウソをついたのです。

最後のリハビリの日
苦笑いで 会釈をした そんな心苦しい思い出
ちゃんと「さようなら」と言えなかったことは
今でも 申し訳なく思っています。



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30 Responses to “デイケアで後味の悪い別れをしてしまいました”

  1. SUGAMAMA より:

    する側とされる側がどうして対等になれないんでしょう。
    私は、今在宅介護を始めたばかり。
    上は93歳の大おばあちゃんに、認知症のじいちゃんと10歳の息子と旦那です。
    今のところ、私が休業しているのでなんとかなってますがデイサービスを利用しながらなるべく仕事をできる範囲で続けたいと思ってます。
    お話、胸が痛くなります。
    介護に携わる方はいつもこのような思いをされているんでしょうね。
    おじいさん、わかってますよ。
    ありがとうって思ってますよ。

  2. 介護ママ より:

    >SUGAMAMAさん
    はじめまして、ありがとうございます。介護と主婦と仕事、掛け持ちながらやりくりしていくのはたいへんですが、私も乗り越えました。多くの方の協力と支えに助けられて。あなたのパワーなら、どんな嵐もフッ飛ばしますよ!元気をありがとうございます。

  3. トトロ より:

    入院中も、介護ママさんのブログを楽しみに読んでいました。
    私も、懺悔の気持ちはあります。
    あの時、こうしていれば良かった。と思う事はたくさんあります。
    私達、介護に携わる者は、たくさんの色んな思いや経験からたくさんの事を学び、成長して行くと思います。だから、懺悔の思いもこうして人に伝えていく事が凄く大事ですよね。
    私も、職員の労働の大変さと利用者さんの思いとをはかりにかけ前者を選んだ事がありました。今後も、この様なケースがきっとたくさんあるでしょう。
    でも、その度介護ママさんのこのブログを思い出し、きちんと考えて利用者さんの気持ちに添う様なケアを実施して行きます。
    いつも、ありがとうございます。

  4. 介護ママ より:

    >トトロさん
    退院おめでとうございます。お元気そうでなによりです。今回のおじいさんの件は、今後のためにも、とてもよき糧だったのかもしれないのですね。おじいさんの気持ちを無駄にしないようにしていきたいです。

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