デイケア現場にて、カンジさんと亡き義父

デイケア現場にて、カンジさんと亡き義父

今日もご来室ありがとうございます。


立つことも、歩くことも、一人で座っていることもできない、カンジおじいさん

目をカット見開き、ジッとしている風貌は、威厳のようなものすら漂います。

 

日中は、ベットをギャッジアップしてテレビを見たり、

 

リクライニングの車椅子でデイルームで過ごして

職員の話しかけに、ゆっくりうなずいたりと

穏やかに過ごしています。


ところで、年初めの私の仕事は、皆さんのラウンドから始まります。

「おめでとうございます。いかがですか。」と


お一人ずつお顔を見て、

元気で過ごされてる事に 一抹の安心と喜びを持ち

お部屋を回ります。


カンジおじいさんのお部屋に伺った時です。

テレビ台の上に1冊の 古いアルバムが置いてありました。

「カンジさんは軍人さんだったのですか?」と私が聞くと

「は・・・い」と2語発するのに、1回の息継ぎをしながら応えられます

「第何団ですか?」ともう一度聞くと

「な・・な・・・だ・・・ん・・・で・・・す・・・(ふ~と 息切れ)」

蚊の消えるような声とはこの事でしょう。

口元まで耳を持っていかないと 聞きとれない声

1語 1語 息が詰まるようにして話す言葉

「え~!主人の父も7団にいました。○○をご存知ですか?」

と、亡き義父の事を尋ねると、カンジさん 突然

「お~~~~~~~」と全身 震えるように唸り声を出し

瞬きのほとんどない目から 突然 涙がこぼれて来たのです。


「○・・○・・さん・・はー、わ・・し・・の・・親・・友・・や・・・。」

体を反りかえり 全身絞り出すようにして声を出し、

私に話し始める カンジおじいさん。


私は 義父が亡くなった事、私がその嫁である事

そして、亡き義父に厳しい中から、

とても可愛がっていただいた事を話すと

カンジさんは 流れる涙をぬぐうことなく

全力で父との思い出を語り始めました。


決して流暢ではない 耳を近づけないと 聞きとれないカンジさんの声

でも、1語1語力を込めて出てくる言葉に

人生の重みと生き抜いた強さを痛感しました。

そして、最後に私に会えた事を、とても喜んで下さったのです。

私もまるで、亡き義父と再会できたような 感動を覚えました。


人の出会いとは有り難いものです。

どこかで、誰かが、この人と出会うように

静かに導いてくれたのかもしれないと

そのご縁に あらためて 深く感謝した出来事でした。



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6 Responses to “デイケア現場にて、カンジさんと亡き義父”

  1. 人と人との出会いは
    縁なんですね。
    亡き義父がきっとママさんと
    カンジさんを引き寄せたように
    思えます。

  2. 介護ママ より:

    >ダイスケ生活相談員さん
    いつもありがとうございます。きっと、寂しいカンジさんのところに、義父が私を呼んだのかもしれないですね。

  3. アーサー より:

    人の縁の不思議さと、素晴らしさを感じるお話でした。
    人と人は、出会うべくして出会うのですね。

  4. メイ☆ より:

    介護ママさん 今日の出会いは 、導かれた必然のように感じ 驚きました。
    かんじおじいさん 介護ママさんに出会えて お義父様のお話が出来て 嬉しかったでしょうね。
    出会うべき人に出会える様に…不思議ですが 人生ってそうなってる様な気がします(^-^)
    私は介護ママさんを含めブログを通じて巡り逢えた方達の事 いつもそう思っています。

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