ヨシジさんが死んじゃった
デイに来ると いつも延長利用をされてたヨシジさん
息子さんご夫婦は共働きで
ショートとデイを掛け持ちしながら
自宅で お父さまの介護をされてます。
ヨシジさんは 無表情で言葉数もすくなく
コミュニケーションは十分にはとれません。
でも こちらの話す事は理解できてるようです。
歩くこともままならず いつも車椅子で移動されますが
トイレに行きたくなると 不意に立ちあがり
車椅子のペダルをまたいで 歩きだします。
でも この時によく転ぶのです。
お顔のあざが消えぬうちに また新しいあざが出来る位転ぶのです。
だから 延長中の待ち時間
スタッフが送迎で居なくなると
いつも 私とフロアーでお留守番です。
私がパソコンを打ってるすぐ横にヨシジさんに来て頂きます。
すると ヨシジさんはいつも 私の左手をさすりだすのです。
(この時は右手だけでパソコンをうつようにしています)
まるで 子供の手足をさするように
そっと そっと さすってくれるのです。
そんな ある日の午後
私は いつもよりも早く 事務机でパソコン打ちを始めました。
延長時間ではなく まだ利用者さんの送り出しが始まる前なのに
ヨシジさん 急に 車椅子を自操して
強行に事務机の中まで入って来たのです。
夕方 自分が いつもいる場所です。
そして 私がパソコンしてるその傍で
静かに 下を向いて座ってます。
この日は 私の手をさする訳でもなく
ただただ 黙って下を向いて 座ってます。
「ヨシジさん どうされました」と聞くと
「なん」と一言
そして その日の晩 ヨシジさんは 静かに息を引き取ったのです。
朝 家族が起こしに行くと ヨシジさんは 寝ていました。
深い深い 眠りから 目を覚ますことなく 眠り続けたのです。
もしかしたら あの時 ヨシジさんは
「さよなら」を言いに来たのかもしれないと
左の腕を さすりながら 思いめぐらしていました。
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切ないお話ですね…。
いつ何時なにがあるかわからない…。今のこの瞬間を大切に生きなきゃっ!!て思わされました。
>めぐみさん
そうなのかもしれないと、今は思います。最後まで一緒にいれたことが救いです。
>けじゃんさん
ありがとうございます。ヨシジさんは空気になって傍にいてくれてくるのです。
>エッコビーさん
ありがとうございます。「ありがとう」ですか、嬉しいです。