介護施設のショートステイの現場にて

私のいる施設は
ショートスティといって
ご家族の事情などで　短期間だけ
高齢者をお預かりする事が出来ます。

私は　午後から　そのショートスティでも
機能訓練をしています。

今日は　そんなショートスティでの　お話しをしましょう。

私がデイケアで担当している　トキコおばあさんは
大きな実家の一人娘で
ちょっとわがままで　甘えん坊です。

息子さん家族と同居されてますが
そのわがままぶりが　災いして
いつも　いつも　不平不満を言い並べています。

そんな　トキコおばあちゃんの介護に
息子さん夫婦は　とうとう疲れはてて
しばらく　トキコおばあちゃん
ショートスティでお泊りすることになりました。

おばあちゃん　施設につくなり
「捨てられた」と思ったらしく
自分の荷物を　握りしめ　｢帰る～」｢出して～」と
扉の前で怒ってます。

私は　そんなこと　露とも知らず
いつものようにショートスティに行くと

トキコさん　私の顔を見るなり　大声で
「せんせ～い　なんでこんなとこにいるんや？」と驚いて
「帰して～」とすがりついてきます。

それでも体操が始まると
いつものように　　体を動かし始め
握りしめていた荷物も離して
頑張って　体操してくれます。

それからは　トキコおばあちゃん
ちゃんとショートスティで過ごされているのですが
私を見るとは　いつも泣くようになったのです。

泣いてる理由を聞いても　ただ首を振るだけ

おばあちゃん　ショートスティから戻り
病院のデイケアで再会すると
突然私の腕をつかみ
「せんせい！あっちとこっちと両方働いとるんか。
忙しすぎや　これじゃ、病気になる。
お願いやから　無理せんといて
先生　倒れるかと思って～」と泣きだしたのです。

実は　トキコおばあちゃん　私が働きづめだと思って
泣いていたのです。

時間の感覚が分からず
病院と施設　両方を掛け持ちして
夜通し　ずっと働いてると思ってたのです。

だから　私がムリして　体壊すことを　案じて
泣くくらい　心配してくれてました。

トキコさん　大丈夫ですよ。

私ね　ちゃんと　５時半には終わってますから。
ホントは　ちょっと大変だけど

みんなの笑顔で元気もらってるから
そして　今日は　あなたの涙が疲れを流してくれましたよ。

でもね　私のために　泣いてくれてありがとう
すっごく　嬉しくて　嬉しすぎて
私も　涙が出そうでした。

トキコさんの涙　絶対忘れないからね。