切なくて悲しくて

私の父は 心根の優しい にこやかな人でした。

しかし その優しさが時には仇になり 苦しんだことも少なくありません。

それでも 父は人を恨むことなく

「まあ 仕方ない」と 寂しそうに下を向いて

申し訳なさそうに 膝をポンとたたいて

母のそばから 立ち去ります。

そんな父を母は責めることなく 黙々と働き続けました。

優しい父と 強い母

私は そんな両親に育てられました。

このバランスが崩れたのは 母が癌で病死してからです。

父は 母が居なくなると 心の天秤がゆれだし

泣き虫になりました。

それでも 母に恥ないように頑張った父

しかし 現実は 悲しいのです。

10年の月日をかけて

父は少しずつ 認知症になっていきました。

いるはずのない母を探しに  夜道をさまよったり

あてもないプレゼントを買いに出かけたり

それは 涙が出るほど 切なく 愛おしい父の姿です。

そして 雪の降るある寒い日

父は 母を訪ねて 夜の道を歩きました。

雪明かりの中 母の声が聞こえるほうに

ただ ひたすら まっすぐにまっすぐに歩き続けました。

しかし 冬の夜は 80を過ぎた老体には 堪えます。

とうとう 父は力尽き 真っ白な雪に包まれて

風になり、母のそばに行きました。

 

今年は父の初盆です。お墓には両親のお骨が きれいに並んでいます。

母を愛し続けた父と 父に愛し続けられた母

私は こんな深い愛情の中で 育てられてきたのです。

両親が亡くなった今

あたたかな愛情の中で育ち、生きてきたことに感謝し

父の笑顔を思い出しています。

 



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