徘徊はどこから来るの?
お嫁さんが仕事を終えて家に戻り中に入ると
いつものように 奥の部屋から大きなテレビの声
「お義母さん ただいま~」と叫ぶと
「あ~ら お帰り」と 返ってくるのに
この日は 聞こえるのはテレビの声だけ
お部屋をのぞくと もぬけの殻
さあ 大変。
おばあさんの足取りではそう遠くは歩けないはず
お嫁さんは 近所を探し回り 町内を歩き回り
おばあさんを探しました。
日は暮れ 外は真っ暗。
それでも見つからず デイサービスに電話してみると
「4時半にお送りしてます。」と
あたふたしてるうちに 1台の車が家の前に到着
ガラス越しに見える 赤いランプ
もしや と思い、外に出ると なんとパトカーです。
お巡りさんに支えられ 車から降りてきたおばあさん
お嫁さんの顔を見るなり
「あんた どこ行ってたの。探したんだから。」と 大きな声。
そうなんです。おばあさんは
お嫁さんが仕事に行ってることを忘れてたのです。
自分がデイサービスから帰ってきたら お嫁さんがいないから
夕暮れの中 探しに出たのです。
「おかあさん 私を探してたの?」
「そうや、こんなに暗くなるまで どこ行ってたの。
心配したんだから。
あんたを探して歩いていたら この人が声かけてくれて
家までつれてきてくれたんや」と
そんなやり取りを お巡りさんはニコニコしながら聞いてます。
「おばあちゃんを 怒らないでくださいね。
お嫁さんのことずっと心配してたんですよ。
あの子がまだ帰らん。どうしたんやろう、って。
年老いても親心はあるんですね。」
「ありがとうございます。でも、ちゃんと住所言えたのですね」
とお嫁さんがお巡りさんに聞くと
「いや~実は住所はわからなかったんです。
でもね、カバンの中に デイサービスの連絡帳があって。
そこに名前と住所が書いてあったから 助かりました。」
お嫁さんは 笑いながらその様子を話してくださいます。
「お巡りさんに言われちゃった。
『おばあさんは、あなたのことを娘さん以上に大切に思ってるんですね』って。
ホントはね、おもらししたり、徘徊したりして、
『なんで私ばっかり ひどい目にあうの』って思ったけど
お巡りさんの話聞いたら、私がそばにいないと この人はダメなんだ、
って思ったの」
色々な介護があるけれど
災いの中に 家族の絆を発見することもあるのです。
いえ、家族の絆があってこそ 介護があるのです。
そんな絆を支えることが
私達介護現場で働く者の 使命だと思います。
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