うつ病のお嫁さんとおじいさんの最後

うつ病のお嫁さんとおじいさんの最後

今日は おじいさんに とても可愛がられていたお嫁さんが
認知症の進行とともに
攻撃のターゲットになった お話しをしましょう。

カズオおじいさんは
大正初期生まれの 元軍人さん
終戦後は公務員を全うされた 几帳面で律儀な方です。

 

カズオおじいさんは 認知症の奥さんと
息子さん夫婦の4人暮らし

お嫁さんは 介護福祉科の教官をしており
大変気の利く 真面目な方でした。

カズオおじいさんは そんなお嫁さんが大好きです。
お嫁さんも 日本男子そのもののおじいさんを
尊敬していました。

家族4人 認知症のおばあちゃんを支えるように
仲良く暮らしていました。

 

しかし 時間の経過は
おばあさんだけにとどまらず
カズオおじいさんまでも 老化へと
いざなって行ったのです。

おばあさんのお世話を
おじいさん中心で頑張ってきた家族
しかし このおじいさんが 少しづつ 変わり始めました。

 

今まで あまり怒った事がない カズオおじいさん
いつ頃からか 怒りっぽくなったのです。

そして その矛先は おのずと 一番言いやすい
お嫁さんへと 向けられるようになりました。

 

お嫁さんは 予想もしていない事態に
ただただ困惑し それでも 自分の不甲斐なさゆえと思い
努力し続けました。

でも 真面目な人ほど 自分を責め
ひたすら努力するのです。

とうとう お嫁さんはうつ病になったのです。

 

自分でどうしていいかわからなくなったお嫁さんが
私達のところに来たのは
もう心身ともに 限界まで来た時でした。

もっと 早くに来て頂けたら・・・
私自身 悔やまれてなりませんでした。

 

ケアマネ情報では
カズオおじいさんの当時の状態は
頑固で 協調性がないとのこと
リハビリなんて それどころじゃないかもと言われていました。

それが意外や意外
面倒見のよい人柄と 周囲への気配りのよさに
ただただ 目を見張るものがありました。

リハビリも大変熱心で 自分からすすんで来室されました。

 

しかし お嫁さんへの 攻撃性は一向に改善されず
やがて お嫁さんも
おじいさんと距離を置くようになりました。

この息子さんご夫婦
おばあちゃんとおじいさん

2人の 認知症老夫婦を抱え
どれだけご苦労されたかたは
私の想像をはるかに超えるものだと思います。

 

ある日 お風呂嫌いのカズオおじいさんが
ご自分から「フロに入ろうか」と言ったので
息子さんがお湯を張り用意をしました。

おじいさん 「気持ちいい~」といいながら
ゆっくりお湯につかっていました。

 

まもなく 息子さんが 様子を見に行くと
カズオおじいさんは 綺麗なお顔で眠るように
お湯につかり 息を引き取っていたそうです。

体も頭も全て洗い きれいな体で最後を迎えられた
そんな カズオおじいさんを
お嫁さんは 力つきるまで 泣いて泣いて泣きじゃくりました。

最後の最後に 嫁の手をわずらわさないように
自分の体をきれいにしていったカズオおじいさん。

 

その深い愛情に感謝し
お嫁さんは 体中の涙と共に お見送りされました。

カズオおじいさん ホントは
お嫁さんの思いを忘れていなかったのです。

ご自分の 最後を感じたとき 全ての力を振り絞って
お嫁さんに 感謝を表したのではないかと 思います。

ご自分の今できるやり方で。
「ありがとう」って。



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20 Responses to “うつ病のお嫁さんとおじいさんの最後”

  1. 今日の話も共感でした
    子育てでも同じことを思いました
    コミュニケーションにおいての
    言葉や態度って難しい
    今回のようなケースで頑張っている家族にはもっと気軽にプロであるわたしたちに相談してほしいし
    そのような仕組みがもっと確立されてほしいですね

  2. アーサー より:

    すごく心に響いた話です!
    母は妹の言う事やヘルパーさんとか他人の言う事は素直に聞くのに、なんで私の言う事はいちいち口答えしたりとかして素直に聞かないんだと思ってました。
    でも、そういう事だったんですね。
    またひとつ知ることができました。
    ありがとうございます。

  3. えりらん より:

    何だか… 失礼かもしれませんが、母親と子供のような関係ですね。
    本当は大好き。
    でもうまく表現できずに、辛く当たってしまう。 
    そういう時、当たってしまう側も、苦しいんですよね。
    人間、いつも笑って穏やかに過ごしたいものですよね。
    そうできなかった、おじいさんの悔しさ、それが分かっているかのようなお嫁さんの悲しみ。
    辛かったでしょうね。
    胸が痛みます。

  4. 介護ママ より:

    >ダイスケ・オカモト(でいすけ)さん
    そうですね、このような家族を救うために、私達がいるのですよね。私達の存在を、もっと身近に感じてほしい、そんな仕組みがしっかりできてほしいですね。

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