母とあしなが育英会
あしなが育英会から届いた大きな封筒
年度末に1年間の受領証明書が送られてくるのです。
私があしなが育英会に寄付を始めたのは
母の一言がきっかけでした。
私の母は 平成6年6月に亡くなりました。
その頃、私は専業主婦で
自転車で20分かけて、毎日のように病床の母を
訪ねていました。
何をするでもなく 傍にいて思い出話しや 将来の事 子育ての事等
平凡な会話でしたが 神様が私にくれた
母との最後の思い出だったのです。
時間にして 1時間足らずでしたが
私自身は その何百倍も何千倍もの価値があったように思います。
母は自分が癌である事、治らない病気である事を
本当は わかっていたのかもしれません。
でも その事は口にせず、
治る事 回復する事 元気になる事を最後まで信じ続けていました。
その母が亡くなる前に言った言葉
「おかあさん 元気になったら
あしなが育英会に入ろうと思って。
おかあさんは 子供達に仕送りするのは大変だったけど
無事に大学出せたから そのご恩返しをしようと思って」
「へ~ そうなんだ」と軽く返事をした私。
それから 数日後 皮肉にも 母は危篤に陥り
そのまま息を引き取りました。
「元気になったら・・」という母の夢
叶うことなく散った夢なら
私が ひきつごう と心にきめ、始めたあしなが募金
ひと月3000円のささやかな募金ですが
天国にいる母に届ける事ができる
私にとっての唯一のお土産かもしれません。
郵便受けから出した大きな封筒を開きながら
そんな母との思い出を巡らしていました。
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