海に誓った母の愛
暑い夏の日、イトさんの息子さんは海で亡くなりました。
元気なころのイトさんは、この時期が来ると
海に行き、細い腕と小さな掌に力を込めて
一厘の花を遠い海に向かって投げます。
足が動く限り、毎年していました。
年月が流れ、息子さんの死も、
息子さんがどこで亡くなったかもわからなくなったイトさん
それでも、蝉しぐれの声を聴くと
道端の枝葉を手にして、玄関を開けて外に出ようとします。
イトさんはなぜ枝葉を持って自分が歩いているのかも
自分がどこに行こうとしているのかもはわかりません。
今のイトさんには知る由がありません。
過去の記憶が薄れ
自分が何をしているのかもわからなくなっても
50年あまり続けてきたことは消えることがありません。
人はこれを「徘徊」と呼びます。
でも、娘さんはわかってるのです。
「徘徊」ではなく、
ただ「息子の元」にいこうとしているだけだと。
海に消えた息子さんの命
母の強い愛情がそうさせているのだと
涙して私に話してくれた おばあさん。
私もともに涙して聞いていました。
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