物忘れがひどい!自分自身が怖くなった時

物忘れがひどい!自分自身が怖くなった時

今日は、自分自身が呆けてきていることを
自覚するあまり 怖くていたたまれなくなった
おばあちゃんのお話をしましょう。

 

ミツコおばあちゃんは
とっても快活で明るく お喋りの大好きな人です。

でも 周囲の人への気使いが強く
時には 思いもよらないことで
クヨクヨ気にしてしまいます。

 

私のいるデイケアでは 毎日午後から
「頭の体操」といって 認知症予防トレーニングをしています。

これは 私が作ったオリジナルのカルタを使用して
ゲーム感覚で行います。

 

ミツコおばあちゃんは
毎回とても元気に参加していたのですが
最近少し 元気がありません。

 

それから 数日後
「先生 聞いてほしい事があるんです」
いつものミツコおばあちゃんとは別人のような
真剣で 悲しそうな顔でやってきました。

「最近 私おかしいんです。
直ぐに忘れて 今したこともすぐに忘れて
家族からは ばあちゃん呆けたって言われるし。
家にいても 私のおる場所はないし
ここにきても
頭の体操も前のようにできなくなってきてるし」

「えっ! 頭の体操はちゃんとできていますよ。」

「な~ん。 前みたい訳にはいかんわ。
何いっとるか みんなの言っとる事が
わからんくなってきたわ」

段々半べそかきになり やがて
「私 これからどうなるんやろ。
段々呆けて 何もわからなくなっていくと思うと
怖くて怖くて たまらなく怖くなってくる」

おばあちゃん とうとう 顔を両手でおおい
泣き出してしまいました。

 

「大丈夫」「誰でもあることだから」と言っも
こんな時は 聞く耳もありません。

「ミツコさん どうしたらいい。
私に何か出来る事ある?」と聞くと

おばあちゃん 涙を拭きながら
「先生 私が呆けても 見放さないでくださいね。
ずっと ここにこさせてくださいね。
お願いだからね」

ミツコおばあちゃん デイケアが大好きなんです。
毎朝 私の顔を見ると 走って 抱きついて
「おはよう!今日も来たよ!」と挨拶してくれます。

 

自宅に 居場所のないおばあちゃんにとって
デイケアは心の拠り所だったのですね。

おばあちゃん 呆けてしまう事が心配なんじゃなくて
分からなくなる事が不安じゃなくて
今 自分が拠り所としている
この場所に 来れなくなる事が
たまらなく 不安で心配で 怖かったのです。

 

「大丈夫ですよ。
ミツコさんはミツコさんなんだから。
ずっと ここに来て下さいね」

「来てもいいんかね」

「当たり前でしょう。」

そういうと ミツコおばあちゃん
いつもの笑顔に戻りました。

 

お年寄りは 自分が分からなくなっていくことを
ほんとは 気づいているのですね。

そして 周りの人たちが 自分から離れていかないか
毎日がとても 不安なんです。

だから ここが あなたにとって
かわることなく 過ごせる そんな場所であることを
私達は しっかりと 言葉で伝える大切さを
この時痛感しました。



介護でお悩みの方へ

介護ママの伝えたい介護のツボは、
介護でお悩みの方のお力になりたいと考えています。

どうしたらいいか分からないなどお悩みのことがあれば、
こちらの連絡先にお気軽にご相談ください。

可能な限りお力添えさせていただきます。


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36 Responses to “物忘れがひどい!自分自身が怖くなった時”

  1. 介護ママ より:

    >えりらんさん
    いつもありがとうございます。不安を取り除く温かさこそ、私達の役目なんですよね。今回は特に思いました。

  2. 介護ママ より:

    >なっちゅんさん
    ありがとうございます。お姑さんはご自分で病院に行く事を求められたとは、よっぽど悩んでおいでたのですね。この気持ちを優しく受け止めてあげているなっちゃんは立派です。私はまだまだ発展途上ですが、一人ひとりの利用者さんから、毎日学ばさせて頂いてます。

  3. 認知症になる前の不安 あると思います 回りの人が 温かく見守る そのことが私たちには時間との生活で 置き去りになる傾向があります 介護ママの存在が どれほど大きいか いまさらに 感じます 私もいつも読ませてもらって 関心します 今の私の時間は 介護される側の時間になりつつあります 不安はこれからきます 用心はしますが心配!

  4. 介護ママ より:

    >おばちゃんさん
    いつもありがとうございます。いつか、私達も認知症世代になった時どのような心理状態になるか心配ですが、心していくのも大切ですね。

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