生まれ変わりの赤ちゃん

生まれ変わりの赤ちゃん

今日もご来室ありがとうございます。


年末年始のお休みのあと、机で仕事をしていると

いつものように、ミツエおばあさんがやって来ました。


「あら、ミツエさん。明けましておめでとうございます。

お正月はいかがでしたか。」

「子供や孫が集まってくれて、賑やかでした~。」

とご満悦顔です。でも、すぐにその顔に、陰りが出たのです。


「せんせい、孫に子供が生まれて、ひ孫を見せに来てくれたんです。」

「あら、それは賑やかでしたんね。」と私が言うと

「う~ん。でもね~、二男の孫だけど、

その嫁が亡くなった2日後に生まれた子でね、複雑な気持ちでしたわ。」

ミツエさん、眉間にしわをいっぱい寄せて、目を閉じてます。


「せんせい、世の中には生れ変わりってあるんでしょうか。

正月にみんな寄って、この子(ひ孫)は嫁の生まれ変わりや、

って言うんですよ。孫の顔を見れない いとしさからなんでしょうね。

でもね、私は違うと思うんです。

この子はこの子、嫁は嫁、

そりゃ、亡くなった2日後に生まれてくれば

みんな、そう思うでしょうけど。


赤ん坊の母親にしてみれば、自分の子供が

自分の母親の変わりなんて、思えるでしょうかね。

わたしゃ、みんなの言ってることが かえって辛かったわ」

ミツエさん、私に答えを求めるでもなく

自分の思いを語り続けています。


「ただね、あの子が生まれてきてくれた事で

悲しみから救われた事は、間違いないから

嫁の『置き土産』なのかもしれないって、私思うんです。」


「そうですね。人の死は耐えがたい位辛いけど、

新しい命がその苦しさを、半分にしてくれたのかもしれないですね。

お母様を亡くしたお孫さんの苦しみは

大変なものだと思います。

でも、それを乗り越えてお産と向き合ったお孫さん、すごいです。

生れかわりというよりも、

私は、誇り高き『ひ孫の誕生』だと思うのです。

亡くなったお嫁さんも、そう思われた方が きっと喜ばれますよ。」


「そうやね~、孫は孫、嫁は嫁。ってことやね。

せんせい、ありがと。なんか、ふっ切れたわ。」

ミツエさん ちょっとだけ 晴れ晴れして お席に戻りました。


私も、自分の言い方が良かったかは、わかりません。

ただ、1週間の間に、生と死を体験されたお孫さんを思うと

今でも、返す言葉はみつかりません。


ありふれた年末年始のお休みですが

人それぞれに 色々な思いですごされたのだな~ と

思いめぐらした仕事初めでした。



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6 Responses to “生まれ変わりの赤ちゃん”

  1. 介護ママ より:

    >しじみちゃんさん
    私こそ、いつもしじみちゃんの温かい言葉に、立ち止まり振り返り、前に進めます。お母様はいかがですか。今年は特に寒いので、肺炎には十分気をつけて下さい。

  2. 介護ママ より:

    >ダイスケ生活相談員さん
    ありがとうございます。1週間で、強い母への礎を築かれた事と、私も思います。あかちゃんとは、それだけ周囲を幸せにするのですよね。

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