精神科の認知症病棟での再会

精神科の認知症病棟での再会

今日もご来室ありがとうございます。

今日は数年ぶりに再会した
東京言葉を話す 上品なおばあさんのお話をしましょう。

ユリコおばあさんが私のいるデイケアに初めて来たのは
もう5~6年も前のことです。

東京言葉を話す とても上品なユリコおばあさんは
なまりの行きかう田舎のデイケアでは
ちょっと 気取った存在でした。

そんなユリコおばあさん
どうしても 仲良く出来ない方がいたのです。

そのおばあさんも ユリコさんが好きではありません。

お互い 被害妄想や物とられ妄想が強く
「盗った」「盗られた」が原因で
お互い顔をみると ついつい憎まれ口を言い合う
困った関係でした。

お互いの家が背中合わせということも災いし
ご家族もホトホト困り果て
とうとう二人ともデイケアには来なくなったのです。

二人とも私の担当でしたが、一体何が起きたのか
私自身十分知らされることもないまま
突然二人はいなくなったのです。

それから 時間は流れ
いつのまにか 二人の事は私の記憶から消えていました。

ところが 先日行った精神科の認知症病棟で
私に話しかけてくる おばあさんがいたのです。

暖房が利いてるとはいえ 肌着1枚を身にまとい
歩行器に捕まるようにズって歩いてる 真っ白な髪のおばあさん

顔を見ていると 思い出しました。
かすかに残っている丁寧な東京言葉
そして 少しかすれた声
それは 間切れもないユリコおばあさんです。

ユリコさん 私の事 はっきりとは覚えていません。
でも どこかで見た事あると思ったのでしょうか。
「お疲れ様です。看護婦さんなら あちらですよ」
と さりげなく案内してくれる様子は
5年の空白を埋め尽くし 何事も無かったように
私達の距離をつなげてくれてます。

妄想という精神症状に翻弄され
精神病院から認知症病棟へと 転々としたユリコさん

しかし 5年という歳月は
髪の毛から足先まで 老婆にしてしまったのです。

その変わり果てた姿の中で
かすかにとどめる上品な東京言葉に
懐かしさといとおしさを感じた ひとときでした。



介護でお悩みの方へ

介護ママの伝えたい介護のツボは、
介護でお悩みの方のお力になりたいと考えています。

どうしたらいいか分からないなどお悩みのことがあれば、
こちらの連絡先にお気軽にご相談ください。

可能な限りお力添えさせていただきます。


広告

6 Responses to “精神科の認知症病棟での再会”

  1. のうえん より:

    ママさんは多くの方の、多くの人生の現場に立ち会っているようですね。
    以前お会いした方がその後、お会いすることも無くなり、有る日またまた偶然なのでしょうか、お会いすることが有るのですね?
    空白期間があるとはいえ、その方達の過ぎ去った人生に再び立ち会うのは何とも因果を感じますね。
     やはり以前より、お年を召された状況は人生というものを肌で感じ、ひとしおのものがあるのでしょうね。

  2. なれた顔を 見ると どこの人だったか 思い出されませんが 笑顔を 見送った とたんひらめく時も あります 月日のたつのは残酷であります 私も 時々見る人が 私たちが引越ししてきた 当時は バリバリのおばさんが 今は手押し車を押してる姿を 見ます もうすぐ私も そうなるかも と 思うときがあります 早い月日です
    今年もわずか いろいろ勉強させてもらいました 介護ママのブログが なければ 踏み出せない仕事 今はいい経験をさせて いただいてます ありがとうございます

  3. 介護ママ より:

    >のうえんさん
    おはようございます。色々な人生があるので、流れた歳月は取り返せない分だけ、再会できたこと仁、感謝していきたいです。

  4. 介護ママ より:

    >おばちゃんさん
    こちらこそありがとうございます。介護のお仕事に挑戦され、日々奮闘しておいでるとおもいます。3歩すすんで2歩さがる、これがこの世界の現状ですので、気負わず進んで下さい。

コメントを残す

広告
サブコンテンツ

このページの先頭へ