若年性認知症診断、一人でも苦しまないで
10年以上の経験の中から
たくさんの認知症ご家族を見てきましたが、
中でもとりわけ悲しいのは
若年性認知症のご主人と向き合っているご家族の葛藤です。
いえ、悲しいと言う言葉を使うことそのものが
失礼にあたるのかもしれません。
先日もそんな家族にお会いしました。
ご主人は60代後半
大きな会社の経理の仕事をされていました。
外国暮らしで身についた
上品ないでたちと鼻筋の通った端整なマスク
この方のどこが認知症なんでしょう。
しかし、私のそんな思いを裏切るには
数分の時間も必要としませんでした。
「朝ごはんは何を食べられましたか」
「そうなんだよ、この間の書類ね。・・・」
意味不明な解答
つじつまの合わない まるで言葉のパズルを組んでるような会話
頭の良さがそんな中からでも垣間見る事ができるのが
かえって皮肉にも感じてきます。
そして 私とご主人のやり取りを見ているその横で
奥様の大きな瞳は 少しずつ 小さな湖へと 移ろいで行ってます。
こらえきれずあふれてくる涙を
ご主人に気づかれないように
奥様は時折 下を向いて 震える手で ふき取りながらも
目の前にある現実を受け止めようとしています。
帰りの車の中で ケアマネが私に言います。
「せんせい あの夫婦を助けてあげてください。
このままだと 奥さん共々つぶれてしまいます」
でも、正直 今の私に何ができるか自信がありません。
返す言葉も見つからず
うなずくこともできないまま 黙って車の窓から 外を眺めていると
ケアマネも感じたのでしょう。
「いえ、あのご主人を通所につなげてくれるだけでいいんです。
今まで どんなサービスもつながらず
奥さん一人で頑張っていたから。」
そうか~
私一人では何もできない 無力に等しいけど
私には 仲間がいるんだった。
病院について車を降りる時 ケアマネにいました。
「大丈夫、うちのスタッフ全員で奥さんを守るから」
その言葉に ケアマネも安心したのでしょうか。
「ありがとう ありがとう ありがとう」
何度となく繰り返す「ありがとう」
まるでその後ろに
涙を浮かべていた奥さんがいるようでした。
さ~ 明日は 大変な1日になりそうだな~
でも大丈夫!!
私には 最高の仲間がいるから。
そう言い聞かせながら フロアーに戻る足取りは
心なしか 大きな山を1歩登り始めた
そんな エネルギーさえ感じていました。
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ケアマネの信頼 それこそが 介護の道ですね 今まで焦っていたことが 態度に出ることのないようにと心に仕込んできたけど 今月は つらい 今を乗り越えようと 頑張っていますが
奥様の心細さ、一人で耐えてきた苦しみ、辛さ・・・。よくわかります。
これからは、周りの方々に支えられて少しでも楽になってほしいです。
心も体も休めてほしい。
どんなにか大変だったろうかと思います。
福祉の方たちに私も感謝している一人です。
本当に助けていただいているんです。
支えがなかったら今頃どうなっていたことかと・・・・。
主人の両親、そして今は自分の両親がお世話になっています。
近い親戚よりも親身になって頂いて感謝なんです。
>おばちゃんさん
心にしまい込むと、なお辛いかもしれませんね。
>サリーさん
身に染みる言葉ありがとうございます。家族以上家族未満の支えになりたいです。