訪問リハビリの終わりの出来事
今日は 訪問リハビリをしていた時の
おばあさんのお話をしましょう。
私は 数年前まで 訪問リハビリも行っていました。
しかし ペーパードライバーのため
自転車で訪問していました。
時間にして10分たらずでしたが
秋の寒空 ジャンバーを着て 帽子をかぶってと
少々 リハビリには 不似合ないでたちで
そんな私を待っていてくれたのは
80歳後半の老夫婦
リハビリをするのは ご主人です。
閉じこもりがちで何もせず
歩くこともままならないおじいさん
初めての訪問日
チャイムを鳴らして出てきたのは
小柄のやせた おばあさんです。
嬉しそうに 茶の間から 飛び出し
待ちかねた客人でも招くように 私を案内
その 襖の向こうには
奥さんとは正反対の
無愛想で頑固そうなおじいさんがいました。
それでも回数を重ねるうちに打ち解け
「リハビリ始めて 元気になりました」
「今日は 家の前を散歩しました」
と 嬉しそうに話す奥さんの横で
照れくさそうに 聞いているご主人
決まって 最後に
ご夫婦の優しさとつつましさがいっぱい詰まったお茶が
出てきました。
しかしそんな 穏やかな時間は 長くつづきませんでした。
ご主人 冬の寒さが堪えるようになったのでしょう。
少しづつ 体力が落ち 体調がすぐれなくなってきたのです。
心配そうにご主人をみる奥さんから
いつのまにか 笑顔が消えていました。
そして みぞれ交じりの寒い日
ご主人が微熱を出し リハビリもままならず 帰ろうとした時
私が目にしたのは
奥さんの 泣き目顔と 切ない眼差し
どんなに辛くても涙をみせない奥さん
しかし 私がこの奥さんの涙を見たのは
それから間もなくでした。
容態が悪化し 救急車で搬送されたおじいさん
おばあさんの祈りも届かず
意識が戻らないまま息を引き取られたのです。
病棟のエレベーター前で 偶然出会ったおばあさん
この時初めて 私は おばあさんの涙を見たのです。
子供のように 声を出して
「おじいさんが おじいさんが・・・」と繰り返し
あふれる涙を拭うことなく泣く姿は
明るくて気丈なおばあさんが見せた
最初で最後の涙でした。
あれから おばあさんに 会うことはありませんが
どんよりとした 寒空をみると
いつもあの 切ない泣き目顔を思い出します。
今では もう自転車で訪問に行く事はありません。
でも 望まれれば 行ってもいいかなと
ちょっぴり 思っている今日この頃です。
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こんばんは。
元気で明るいおばあさん、無口で頑固なおじいさん。うちの両親に、似ています。
夫婦が連れ合いを失ったら、どんな気持ちになるんだろうと思いました。おばあさんは、きっと片腕をもがれたような気持でしょうね。
介護ママさんのブログを読んで、改めて両親を大事にしようと思いました。
>果成咲慧さん
ありがとうございます。夫婦の偉大と両親のかげないのない存在を教えて頂きありがとうございます。
色々な思いに寄り添いたい。
介護ママさんの暖かい気持ちにいつも、私も頑張ろうって思います。
>トトロさん
いつもありがとうございます。色々な思いをお持ちの方の力になれるようになりたいですね。