認知症のおばあさんとの会話 「夢はなんですか」

今日は ある日のおばあさんとの会話をお話しましょう。


おばあさん「せんせい お子さん大きくなったでしょう。」

私     「はい、みんな社会人です」


おばあさん「そうなんですか。立派になられたでしょうね」

私     「ま~ 大きくなりましたけど、

       私ね 子育て中『勉強しなさい』ってあまり言わず、

       『夢を持ちなさい』って育てたんですよ。

       そしたら、ホントそのまんま育っちゃって」


おばあさん「それはいいことよ。夢を持つって素晴らしい事よ。」

私     「トキさんの若いころの夢って、なんでしたか」


おばあさん「う~ん、戦争中で何もなかったね。

       生きる事で 精一杯だったわ。

       戦争が終わって、落ち着いた頃からかね、

       元気で長生き出来たらいいな~。って、思ってたわ。

       これが もしかしたら私の夢だったのかもね。」

私     「じゃ~ 夢がかなってますよ。

       今も お元気で、こうやって お話が一緒にできますものね。」


おばあさん「でもね、ぜんぜん嬉しくないわ。

       みんな おらんくなって、息子も先に逝ってしもて、

       夢は 見てる時が一番よかったのかもしれないね。」


昔の人はそうだったかもしれない。

長生きする事が 素晴らしい事だと信じて

ずっと、頑張ってこられたのでしょう。

でも、待っていた現実は 孤独と不安

夢って 見ている時 願っている時が 一番いいのかもしれません。


因みに この会話、介護2の95歳の

認知症のおばあさんとのやり取りです。

認知症になって、今まで出来た事が出来なくなる。

でも、できない自分を、もう一人の自分がちゃんと見ている。


この厳しく辛い現実も 

このおばあさんは ちゃんと わかっているのかもしれません。


老いるとは きっと 思慮を深める事なんですね。

     



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6 Responses to “認知症のおばあさんとの会話 「夢はなんですか」”

  1. ちょっとせつなかったです。
    95歳の方の言葉は重みがありますね。

  2. 介護ママ より:

    >岡本大輔@生活相談員(社会福祉士)兼介護支援専門員さんおはようございます。いつもありがとうございます。年輪を重ねた方の言葉は、ズシッときますね。

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