認知症のおばあちゃんに奇跡を起こした孫
今日は 奇跡をおこした
お孫さんのお話をしましょう。
イトおばあちゃんは 家族からとても愛されていた
働き者の 優しいおばあちゃんでした。
ある日 足を骨折して 手術することになりました。
おばあちゃん この頃から少しづつ
変なことを言うようになったのです。
目もうつろで 話し方も不明瞭、
今したことも忘れたり
元気な頃の面影は全くなくなりました。
イトおばあちゃんには
お嫁にいった お孫さんがいます。
小さい頃 ご両親が仕事をしていて
おばあちゃんにとても可愛がられていました。
しかし おばあちゃんの 変わり果てた姿を
受け入れる事が出来なかったようです。
イトおばあちゃん 入院中は 痛みの訴えが強く
リハビリには消極的で
自力歩行までには到達できませんでした。
デイケア初日 イトおばあちゃんのリハビリ中に
30代の優しそうな方が 見学においでました。
イトおばあちゃんのお孫さんです。
おばあちゃん お孫さんを見るなり
ニコニコになって リハビリ忘れて
色々お孫さんに話しかけてます。
おばあちゃん よっぽど 嬉しかったのですね。
でも お孫さんの顔は、おばあちゃんとは対照的に
少しもの悲しそうです。
ウンウンと頷いてますが
聞くだけで 話しかけることはありません。
リハビリ終了後お孫さんが 私に
「おばあちゃん 元に戻りますか?」と聞いてきました。
「元って 歩けるようになることですか?」
「はい」とお孫さんあっさり返答しますが
そんな 簡単な訳にはいきません。
「どこまで 元に近づくかは まだ断定できません。
それに お察しのとおり 理解力も低下していますから。」
といったその時です。
お孫さんの目から止め処なく 涙が流れてきました。
周囲をはばかる事無く 流れる涙に
私は 自分の言った 言葉の重さと責任を痛感しました。
「ごめんなさい、傷つけてしまって」と謝ると
「いいえ 違うんです。
おばあちゃんが あまりにも変わりすぎて。
認知症は治りますか。
おばあちゃん もとのおばあちゃんに戻りますか。
骨折するまではあんなに しっかりしてたのに。」
矢継ぎ早に来る質問は
無礼な事を放した 戒めでもあるかのように
私の胸を突き刺してきます。
「正直言って 以前どうりというのは なんとも言えません。
でも まずはおばあちゃんに 色々な刺激を与えてください。
楽しい 嬉しい といった いい刺激を上げてください。
できれば お休みの日は 山にでもお連れしてあげたり」
根拠があるのかないのか 正直自信はありませんが
よくご家族でお出かけされていたから
少しでも以前の生活と同じ事をしてほしかったのです。
そして ここからが 私の出番です。
実際にデイケアの車を使っての 乗降訓練の開始です。
「イトさん お孫さんとお出かけするから
自分で車に乗れないとね」
を掛け声に おばあちゃん頑張りました。
やってみると 意外と出来るものです。
それから1週間後
「お休みの日 どこかに行かれました?」と私が聞くと
「うん。たくさん行って来た。」
「どなたといかれたのですか」
「孫の家族と 山に連れて行ってもらった。
気持ちよかった。綺麗やった」と
「えっ!山? どこの山ですか?」
「知らんけど 山やったわ」って
お孫さん 私との約束守ってくれたのですね。
イトおばあちゃんを 山に連れて行ってくれたのですね。
「また 連れて行ってくれるって言っとったわ。
はよ、元気にならんなん。」
そして お孫さんの優しさと誠実さは おばあちゃんに
元気を吹きかけてくれたのです。
これは 認知症で変わってゆく おばあちゃんを
「なんとか もとのおばあちゃんに」
と思う孫の気持ちが起こした
ささやかな 奇跡だと思います。
家族の愛は どんな激励の言葉よりも
深く 大きく包む事が出来るのですね。
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