認知症の不穏症状を理解するということ

気にいらないことがあると 大きな声を出し怒りだすショウコさんは

他の利用者さんとは 喧嘩ばかりして

集団生活が適応困難とのことで

いくつかの デイを回って 私達の所においでました。


たしかに 喧嘩っぱやいし 少々粗暴です

そんな ショウコさんの最大の悩みは

「帰る!」といって 玄関まで 速足で出ていく事です。

足腰 丈夫なショウコさん

足も速いし 力もあるし やわな女性職員では 負けてしまいます。


なんとか このショウコさんを

おちついて過ごして頂く方法はないか 考えてみました。


ショウコさん きっと

デイのなかで 自分の居場所がみつからず

興味をひくこともないから 帰りたくなるのです

だったら なにか興味のあること みつけましょう。

と、考えたものの 何がいいか 浮かびません。


かって 病院のデイケアで

私が 利用者さんに本の読み聞かせをした時

涙を流して聞いている 利用者さんの事を思い出しました。

ショウコさんに 興味を持って頂けるかは 疑問でしたが

とにかく 挑戦です。


本は 感動するエッセイもので

野口善則さんの「鏡の法則」です

できるだけ わかりやすく 感情こめて 私が読み始めると


あんなに 気性の荒いショウコさんが

ピタリと 言葉が止まり 椅子に吸着されるように 座り付き

身を乗り出して 聞いてます。

1文 1文に 相づちをうち

いつしか 涙を流しながら 本の中に 入ってました。


集団生活に適応できず みんなと喧嘩ばかりしてたショウコさん

ホントはとても 心の優しい お母さんだったのです

働き者故に 当てもなく過ごしているデイの時間が耐えられず

ツラツラと日々過ごしている周りが許せなかったのでしょう。


認知症で不穏症状を表される方は たくさんおいでます

その症状に 周りはバタバタしてしまいます。

でも 周りの方が 自分の時間を止め 

その方の時間に合わして見てください。

今まで見えていた「不穏症状」は 

私達に 色々な事を教えてくれます。


その方の生きざま

私達のいたらなさ

介護プロとしての見識


本を聞きながら 涙を流す ショウコさんを見て

悪いのは あなたではなく

あなたを理解していなかった 私達職員だったことを

知らされた ひと時でした。



介護でお悩みの方へ

介護ママの伝えたい介護のツボは、
介護でお悩みの方のお力になりたいと考えています。

どうしたらいいか分からないなどお悩みのことがあれば、
こちらの連絡先にお気軽にご相談ください。

可能な限りお力添えさせていただきます。


広告

12 Responses to “認知症の不穏症状を理解するということ”

  1. 現場で働くと必ずこのような方がいらっしゃって、必ずといって良いほどスタッフの言うことを聞かない人というレッテルを貼られ、さらに居場所を失ってしまいますよね。ホント反省です。
    頭ではここに居場所がないからこのような行動を取るんだなと思ってはいても、居心地のいい空間にするための行動がわからずのままでしたが、いいヒントをいただけました。
    ありがとうございます。

  2. 私は 訪問介護の お仕事をしてます やはり介護の時間は大切ですが 無駄な時間も 介護を受ける人にとっては 大切です 時間がきたら はいさようなら では 信頼が生まれないように思います この世界には 私たちのような 歳をとった人のゆっくりとした時間も大切なように思います

  3. i-yon より:

    私は仕事で不十分ながら‥
    「声にならない声を聞きたい」と心の耳を澄ませるようにしてきました
    歯科治療には私たちの想像以上の恐怖感が患者さんに襲い掛かります
    最初は体全体を抑制しなければならない方もおられます
    でもその抑制が少しずつはずせるようになり、一般歯科に通えるようになる方も‥
    仕事では出来ることが同居の母にはできません
    仕事では出来ることが‥なかなかできません

  4. 介護ママ より:

    >岡本大輔@生活相談員(社会福祉士)兼介護支援専門員さん
    ありがとうございます。お役に立てる事を願ってます。

コメントを残す

広告
サブコンテンツ

このページの先頭へ