認知症ケア、うつ病のゴローおじいさんの介護

認知症ケア、うつ病のゴローおじいさんの介護

言葉をなくしたおじいさんがしてくれた 指きりげんまん 

ほんの少し 心を開いてくれた 嬉しい お話をしましょう。


ゴローおじいさんは 定年後静かに田舎でくらそうと

奥さんと 見知らぬ田舎町にやって来ました。

 

しかし 待っていたのは なれない環境と孤独

奥さんが病弱なこともあり 話す人も特になく

ゴローおじいさん 段々閉じこもりがちになり

とうとう うつ病になってしまいました。


やがて 脳梗塞を併発 


歩くことはもちろん 食べることも 言葉も失い 胃に管を通しての栄養補給

人として 空間の中で 

息の音と心臓の鼓動だけが 静かに響いている生活でした。


そんなゴローおじいさん

親戚の勧めで 私達の施設に入所されたのです。


「見てほしい人がいるのです」

主任に案内されて訪ねると 

ゴローおじいさん 部屋の隅で黙って目を開け

天井を見つめていました。

そして その姿に 異様な存在感すら 私は 感じました。


話しかけると 顔はむけるのですが 返事はありません。

もちろん 体は自分で動かせません。

 

でも 手を握ると 握り返してくれるのです。


部屋を出た主任から

「この方に 僕達はどうすればいいでしょう」と聞かれたものの

私も答える術がありませんでした。

でも ただなんとなく ゴローおじいさんの心の壁を

まずは 壊さなければ進めない事を

直感的に感じたのです。


「とにかく デイルームや皆のところにつれて来て下さい。

刺激を与えていきましょう。」


それから 私もゴローおじいさんのお部屋に通い

できるはずのない会話を始めました。


言葉をかけても 返事がない。

手をだしても 自分からは出してくれない。

目だけが 物言いたげに ジーと見つめてくれているのです。


私の目一点を見つめるだけのゴローおじいさんの目に

動きをかんじるようになった ある日


心なしか 

ゴローおじいさんの表情に緩みを感じていたその時です。


「みんなで体操するのですが おいでませんか」

と尋ねると 頸を横に振るのです。

「じゃ、今日は辞めときますね、明日はいいですか」

と尋ねると 今度は 頸をタテに振ります。


「指きりしましょ」と私が小指を出すと

おじいさん ゆっくりと お布団の中から 右手を上げ

そっと 小指をたてたのです。

 

自分の小指で握り

「指きりげんまん 指きりげんまん」と何度も言いながら

踊りだす気持ちを 押さえるように 笑い返しました。


ゴローおじいさん ありがとう。

言葉のない世界で

目だけが 自分の気持ちを代弁していた日々


でも これからは 少しづつ 

自分の気持ちを語りましょうね。

おじいさんの小指が そう私に伝えてくれていましたよ。



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16 Responses to “認知症ケア、うつ病のゴローおじいさんの介護”

  1. k2uchihira より:

    身体が動かせるかも…って、おじいさんが思ってくれれば良いですね。
    まずは第一ステップのコミュニケーションの成功、おめでとうございます。

  2. メイ☆ より:

    介護ママさんおはようございます。
    とても素敵な指切りげんまんですね(^-^)
    きっと ゆっくりと焦らずに接しておられた 介護ママさんの気持ちが伝わったのだと思いました。 介護ママさんの周りにおられる 職員さんや利用者さんはあったかくなりますね。その輪がどんどん大きくなっているように思いました。

  3. 介護ママ より:

    >k2uchihiraさん
    おはようございます。ありがとうございます。第1ステップですね、頑張って今日も行ってきます。

  4. 介護ママ より:

    >メイ☆さん
    ありがとうございます。安らぎの和がどんどん広がり、多くの高齢者が住みやすい街になってほしいです。

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