認知症患者との関わり方、感謝の気持ち

認知症患者との関わり方、感謝の気持ち

今日は 私が心掛けている事を お話しましょう。

私の大好きな 足の不自由な キヨおばあさん
40代で交通事故にあい 脳挫傷を起こしました。

それから 後遺症で 足が不自由になり
重なるように 転倒や体調不良で入退院を繰り返しています。

今では、お医者様から 「歩行は無理」と言われています。
でも キヨおばあさんは あきらめきれないのです。

デイケアに 復帰するたびに
「先生 歩きたいんです」とリハビリを頑張っています。

そんなキヨおばあさんの気持ちに どう答えていいか
正直 私は 困惑していました。

でも
「転倒を恐れて何もしないよりも
私が見守って 少しでも歩かせてあげよう」
と廊下の手すりで不安定な歩行の練習を開始したのです。

お医者様からは 厳しい事を言われているはずなのに
キヨおばあさんは とても嬉しそうに
私の手にしがみついて歩いています。

どれだけ練習しても 上達しません。
そんな様子を 廊下ですれ違うお医者様は
笑顔で見てくださっています。

この時思ったのです。
キヨおばあさんは 歩けるようになりたいのではなく
歩くことを 忘れずにいたかったのだと。

そして 必ず
この「ちょっと怖い歩行練習」を終えた後
する事があるのです。

キヨおばあさんの車椅子の前に 私がしゃがんで
おばあさんの両手を握りながら
「今日も頑張ってくれて ありがとうございます」と一礼します。

始めは お互い照れくさかったのですが
これが 毎回の「閉会の言葉」になり、
おばあさんも 「私の方が ありがとうですよ」
と言って下さるのです。

私のつたない歩行練習が キヨおばあさんには
何よりも 楽しい時間になっているようです。
「この時間が 一番楽しみや」と言って下さいます。

してあげているケアではなく
させて頂いているケア

この感謝の気持ちを 私は 忘れたくありません。

だから させて頂いた時は
ちょっと 照れるけど 恥ずかしがらずに
「今日もありがとうございます」と必ず言葉にします。

だって 言葉にしないと伝わらないのですから。



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