認知症治療、胃ろうを選んだ老夫婦
今日は老々介護をされているご夫婦が
胃ろうを決断したお話をしましょう。
タカシおじいさんは 妄想や幻覚が強く
介護はひときわ大変でした。
そんな たいへんなタカシおじいさん
ご自宅でも目が話せず 奥さんのご苦労は
並々ならぬものでした。
このご夫婦 ともに80歳後半の老々介護
奥様は 疲労のためか やせて小さくなっています。
専門的治療をしていないため
おじいさんの 精神症状は進行
妄想 幻覚の中での介護に奥さんは限界を感じ
デイケアを中断、短期入所介護に変更しました。
やがて、おじいさんの体力も低下
入退院を繰り返し、
とうとう口から食事を摂取できなくなったのです
タカシおじいさんがデイケアを中断されてからは
詳しいご様子は分からなかったのですが
私自身、今後の治療については
「高齢夫婦だから このまま自然に任せるだろう」
と思っていた矢先届いた情報は
「胃ろうされます」です。
「なぜ? 胃ろうをするともっと大変なのに。
預かってくれるサービスはなくなるのに。
なぜ胃ろうを選んだの」
奥さんの真意が全く理解できませんでした。
少なくとも 奥さんにお会いするまでは
しかし 私の考えは間違っていたのです。
このおくさんとご主人の お二人の様子を見て
初めて自分の浅はかさに気づき
生きることにマニュアルも正論もないことを
奥さんから教わりました。
私が特養のデイルームに行くと
奥さんは座って テレビを見ていました。
タカシおじいさんはデイルームの隣の部屋です。
私はこの時初めて奥さんとゆっくり話しをしました。
今までが大変だったこと
皆に迷惑掛けたけど
それでもおじいさんが傍にいてくれて良かったこと
これからも ずっと顔をみていたいこと、などなど
おじいさんの部屋の扉は開け放たれ
奥さんは椅子に腰掛け話をしながら
時々おじいさんの様子をのぞいています。
奥さん おじいさんの介護はもう出来ません。
でも、生きてる気配は感じていたかったのです。
なにも出来ない自分を責める事無く
人の手をかりながらでも
なんとか おじいさんに生きていてほしかったのです。
年を取り 子供達も遠方にいき
自分達だけの生活になったとき
出来る事を必死に頑張るのではなく
相手の息使いを感じることは
自分自身の生きている証なのかもしれません。
「いつまで 毎日通えるかわかりません。
でも、私が元気な間は 毎日顔を見にきたいんです。
お邪魔でしょうが、よろしくお願いします。」
施設預けっぱなしの家族が多い中で、
こんな夫婦もいるんだなと思い
あらたな 高齢者施設の意義を考えさせられました。
けっして お預かりではない もうひとつの生きる場所
そして この奥さんの姿を見て
自分の目標が見えたような気がしました。
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>にこりんさん
ありがとうございます。今まで頑張ってきた分、これからは精一杯応援していきたいですね。
>メイ☆さん
さありがとうございまう。このご夫婦の終の棲家として恥ずかしくないようにしたいですね。
>Nannanさん
ありがとうございます。施設に入所することは、マイナスではありません。自分が施設の現場を直接みて、その関わる人達の誠実さに感銘している毎日です。
>トトロさん
施設は時代の編纂とともに、その必要性を求められてあのだと思います。これからは利用者主体の、生きるための場所として、新しい施設形態が求められていると思います。選ばれる施設になるための温かいケアを提供したいです。