離婚をやめた義母の言葉、女は弱し、されど母は強し

長く　ご主人と別居している友人がいます。

もともとは　ご主人の単身赴任から始まりました。

その身軽さから　彼女も仕事の幅を広げ　出張等が増えてきたのです。

こんなすれ違い生活

まだ　子供がいるのなら　食い止める事ができたでしょう。

しかし　子供のいない淋しさからでしょうか

彼女は　あえて　今の生活を変えようとしませんでした。

遠巻きで心配している私に　ポツリと

「介護ママさんのとこはいいね。二人仲良くて」

「あなたはどうなの？」

恐る恐る　長い間気にかけていた事を　私は聞いてみました。

大きく首を横に振る彼女

「そうなんだ～」

返す言葉もなく　黙ってしまった私に

彼女は言葉を続けます。

「この間ね、おかあさん（義母）の所に言ったの。

どうしていいかわからなくて、

お義母さん　私の事どう思ってるか不安で。」

「それで　どうだった。なにか変わった？」

さらに　私が問いかけると

彼女の口から思わぬ言葉が返ってきたのです。

「私ね。もうダメだと思って、離婚するつもりだったの。

でも、私、お義母さんのことが気になってね、

それで最後に顔を見にいたはずなのに。

お義母さん、私を見るなり、喜んで

『元気そうだね、仕事急がしいんやろ』って

私の事心配してくれるの」

「・・・」なみだ目の彼女にうなずくことしかできない私

「畑から返ってきたばかりの泥のついた長くつと姿を見て　思ったの

『あ～、この人は　こうやって彼を育ててきたんだ』って」

「そうっか～　じゃ、気持ち変わった？」

「うん、それでね、この人のために、

もう一回　頑張ってみようって思ったの。」

「そう、よかった。」

女は弱し、されど母は強し。

彼女の頑なな心を　

母の優しさが解きほぐしたのかもしれません。

涙を浮かべて見せる彼女の左手の薬指の指輪

今日は　一段と輝いて見えました。