認知症で娘を口説く父と娘の心
先日 認知症サポーター講座を行い
その終了後 私の元に 一人の上品な女性がやってきました。
「あの~ お話を聞いて頂けますか」
と少々 びくつくように 怯えた目が印象的な 綺麗な方です。
「私の実の父の事です。」と始まった ご家族の介護のお話です。
初めは フムフムと 一般的な苦労話しでしたが
話しを聞くうちに 彼女が 傷つき 悩んでいたのは
もっと別の事であることが わかりました
彼女のお父様は 幼少期に母親を亡くされたそうです。
きっと 寂しい子供時代を送られたのでしょうに
お父様は その事を ずっと口にすることはなく
立派な父として 彼女は尊敬していました。
しかし そんなお父様も年と共に認知症になり
尊敬する父としての名残りが 少しづつ崩れ欠けてきたのです。
そして それと共に 今まで封印してきた
幼き頃に亡くした母親への思いが
お父様の口から とめどなくあふれ出し
「母に会いたい」と 娘さんにせがむようになったのです。
お嫁に行き 一緒に暮らしていない娘さんですが
余りの 子供の様な 父親が心配で
実家に泊まった ある晩
お父様は 娘さんを 娘ではなく 若いお嬢さんと思い
口説き始めたのです。
尊敬した父が 亡くなった母親を恋しがる
その姿をみることだけで 辛いのに
若い女性に 言いよる 男としての父の姿
この女性は 2重の衝撃に 今まで張りつめていたものが プツリ切れ
どうしていいか分からなくなり
すがるように 私の講座に来て下さいました。
終了後 まっすぐに 私を見つめ 問いかける瞳に
なんて言っていいか 分からず
ただただ 私も 彼女を見つめていました。
そして でた言葉は
「辛いですね。介護には正解はないんです。
ただ お父様は 愛情を求めているだけだと思います。
買い物に行く時 手をつないで差し上げたり
肩をさすってあげたりして、心の中を埋めて差し上げて下さい」
他になんて言ったかは 覚えていません。
私の言葉に 彼女が求めていたものがあったかは 分かりません。
いえ、そんな自信は 毛頭ありません。
でも 別れ際に
「もう一度 先生の講座 聞きたいです。」と笑顔で帰られた後ろ姿を見て
答えは出なかったのでしょうが
ヒントは見えたのかもしれないと
少しだけ ほっとした 別れ際でした。
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認知症の方と 接するときは やはり 躊躇します この年になって 何を望んでいらっしゃるのかが 図り知れません お話を聞き出すまでがなかなかです もう少し近づきになれたら と 思うところがあります 難しいですね 介護とは 御利用者さんと ご家族さんと 介護施設と ヘルパーと 四角関係です
>おばちゃんさん
四角関係とは、深いですね。色々な人が関わる分様々な思いがあるという事ですね。
答えがでなくても…
聞いてくれる人に出会えた。
これがなによりなのでは?
娘さん、お辛いでしょうね…
でも、介護ママさんと出会うかとが出来て、本当よかったと思います
>笙子ママさん
ありがとうございます。支えになれたのなら、嬉しいです。