コーヒーとフミオさん

私のデイケアは病院の中にあります。

週3回通所されてるフミオさん

コーヒーが大好きで　

デイケアに来てる時も　合間を見計らって

病院の喫茶店にコーヒーを飲みにいきます。

ちょいと　フロアーを抜け出して　悪いそぶりもなく

美味しそうに　コーヒーをそそる横顔

「フミオさん　ぬけだしたらいけませんよ」なんて言えませんでした。

「コーヒー美味しかったですか」と　声かけすると

「おん、うまかった。ここのコーヒーは最高や。

そうや、コーヒーチケット買って来たわ」と

ま～　当分通い詰めるのでしょうか。

と　私は少々困っていたのですが・・・

しかし　これが大きな間違いでした。

今日、私の勤務が半日で

3時過ぎに横断歩道で信号待ちをしていると

帽子を深くかぶったおじいさんが　自転車に乗って横にやってきました。

「よ～　せんせい。　今日は　早いですね」と

親しげに声をかけられて見ると

フミオさんです。

デイケアでは　おじいさんそのものですが

外に出ると　ちょっと　粋なおじさん

「わしね、デイに来ない日は　

自転車で病院の喫茶までコーヒー飲みに来るんや

これが1日の楽しみで　元気の源や」

あどけない笑い顔と満足感

まるで少年が学校近くの駄菓子屋さんまで出向く

そんな　楽しみとワクワク感を秘めた笑顔に

コーヒーチケットに込められた

フミオさんの　ささやかな信念を見つけたような会話でした。