息子の火の不始末で居場所を失ったおばあちゃん
明け方3時過ぎ
鳴り響く サイレンで目を覚ましました。
「救急車だろうか。
それにしても、なんでこんなに近くで
たくさんの サイレンがなっているんだろう。」
そう思い 2階から 外を覗くと
すぐ目の前が まるで 太陽がそこまで来てるかのように
赤く 熱い とてつもない大きな火の塊が迫っていました。
脚がすくみ くずれそうな 腰を支えるのがやっとで
ただひたすら 「火事~ 火事~」と
主人を 起こすのが精一杯
2階の窓から 家の足元に人が集まり
カメラを持った人 タクシーで駆け付ける人
まるで 大事故が起きた現場の中で
自分だけが どうしていいかわからず 金縛りにあったように
身動きができず
時が止まっているようでした。
幸い 私の家は道路をはさんでいたので
火が飛んでくることもなく
7軒先という かすかな幸運が
全てを守ってくれました。
しかし 火元のお宅は85歳のおばあちゃん
火事で怪我をして 病院に運ばれたのですが
そこからは どうなったのかわりません。
無職のチャランポランした息子が
友達を連れて遊びに来て起こした不始末
おばあちゃんは 近所の方に合わす顔がなかったのでしょう。
そのまま どこかに消えたのです。
「キヨコおばあちゃん どこいったの」と
私は 近所の方に聞かれるのです。
かって 相談を受けた事もある私だと
何かしってると思ったのでしょう。
でも 今は 私もどこにおいででるか分かりません。
人生 晩年を迎え 静かに暮らしていたはずが
ほんの一晩の悲劇で
キヨコおばあちゃんは
今まで生きてきた、全ての証を 無くしてしまったのです。
お金も 思い出も そして自分の居場所も
キヨコおばあちゃん
どこにいるかわからないけど
あなたを助けてくれる人は必ずいるから
諦めずに 生き抜いて下さいね。
届かぬ声とわかりながら
私は 今日も 空に向かって 祈ってます。
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私も5歳の時 隣の火の不始末で 火をもらい家を全焼してしまいました。
火事は全てを無くしてしまいます。
ただ 命が助かったから 今があるのですが キヨコおばあさん お元気にまた姿を見せてくれるといいのに…。人は どこまで強くならなければいけないのでしょう…と思ってしまいます。
>雪さん
火事の怖さは目の当たりにしないとわかりませんね。5歳の時の経験、鮮烈だったことでしょう。キヨコおばあさんも乗り越えてほしいです。