徘徊する父を思う息子さんの優しさ
情報やニュースでよく聞く 高齢者の徘徊
今度は 自分が 保護する事になったのです。
それは 仕事帰りの 薄暮時の6時前
横断歩道の向こう側を うつろに歩いているおじいさんがいます。
ふらふらとした歩いていたのですが やがて止まり
そのまま 道路に倒れ込んだのです。
おじいさん しばらく両手をバタバタ動かしていたものの
すぐに その動きはとまり
観念したように 空を見ているようです。
その様子を遠くで見ていた
私と もう一人お勤め帰りの男性が
おじいさんの所まで 走り寄り
「大丈夫ですか」と声をかけると
何か言いたそうですが
言葉にならず 涙だけがその辛さを教えてくれてるようでした。
119番をかけて 救急車を待っている間
おじいさんの口から 絞り出すように出た言葉は
「わしは 認知症になったのかな」
消えるような その言葉に ハット我に帰ったのは 私です。
「おじいさん お名前は?」
答えはないものの
おもむろに ポケットに手を入れ 財布を取り出し
中から出てきたのは
お金ではなく 名刺大のメモ紙
そこには 自分の名前と住所
そして大きく書かれた 長男さんの名前と携帯番号
「あ~ 家族はおじいさんが 徘徊して
こうなることを 覚悟していたんだ。
だから わざわざ 自分の携帯番号を
大きく書いて 渡していたんだ」
親を思う子供の切なさ
それでも「出歩くな」と 縛りつけなかった息子さんの優しさ
「おじいさん 家に帰ろうとしたの?」と話しかけても
その言葉に返事はありません。
私は 受け取ったメモ紙を おじいさんに渡すと
おじいさん 力いっぱいその紙を握り
遠くを見ています。
やがて救急車が到着
サイレンの音と共に おじいさんは 消えて行きました。
ズボンもシャツも おしっこと汗でびっしょり
おじいさん 息子さんに 怒られるかな
「親父 バカだな~
こんなに暑いのにどこ行ってたんだ~。」
おじいさん その優しさに 返す言葉もみつからず
ただただ 涙してるかもしれませんね。
もう2度と会う事のない おじいさんでしょう。
でも 私に 家族の優しさと大切さを 教えてくれました。
今度の日曜日
私も お父さんに 会いに行こうっと。
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縛り付けないのも易しさですよね
有り難うございます。
>なおさん
いえいえこちらこそ。