認知症デイサービス、心のケアの1つ

認知症デイサービス、心のケアの1つ

今日は 最後まで共に秘密を通した方のお話をしましょう。

この方が 初めてデイケアにおいでた時は
抑うつ状態で食事もままならない 栄養不良の状態でした。

ご主人を亡くし 遠方の娘のところに身を寄せたものの
他に知り合いもない 見ず知らずの地は
いつとはなく この方を閉じこもりにさせてしまったのです。

娘は そんな母親を不憫に思い
デイケアに連れてきました。

私がこの方と初めてお会いした時は
目を合わす事もなく、なんとなくソワソワと落ち着きがありませんでした。

うつ状態というよりも もっと別の何か 不安に怯えているような
何かを引きずっているような そんな影を感じました。

私の専門はリハビリですから
まずは 体力をつけていく事
精神的に支えになることから 始めました。

その後 時間の経過とともに 体力は回復し
表情にも明るさが増してきました。

日々お元気になる様子は
初めてお会いした時の暗さを忘れるほどでした。

そんなある日 ポツリと
「私の二女は自殺したの」とつぶやかれたのです。

この時初めて あの時の暗さと悲しさが
ここからきていることを察しました。

しかし 二女さんが自殺したことは
ケアマネや家族からの情報には一切ありません。

いえ
ケアマネや他のデイスタッフは知る由もなかったのです。

きっと この方とご家族が過去の苦しみとして封印したのでしょう。

私にポツリとこぼされた心境は
亡くなった今 考えるすべはありません。

ただこの時 私もこの方と同じように
自分の胸に封印しようと決めたのです。

そして この一言以来 このおばあさんは
無くなった二女の話はしませんでした。

私もまた デイケアスタッフにも 何も伝えずに いたのです。

なぜだかわかりませんが、
言ってはいけないことのような そんな気がしたのです。

お互い約束したわけでもないのですが
それぞれの二人の胸に 封印しました。

色々な悲しみや苦しみを抱えて 知らない土地で
生きようとしている姿は 切なさと有難さで
時には 胸が熱くなることもありました。

今 この方は亡くなった二女さんと
天国でどんな話をしてるでしょう。

時々私とのリハビリを思い出してくれているでしょうか。

私も 同じ秘密を持ったことで
苦しみや悲しみを分かち合えたような
ささやかな満足感を持っています。

情報の共有という介護の現場で
人には知られたくない 過去をお持ちの方
その過去を ふとした事で耳にした時
同じように封印するのも
ひとつの受け止め方だと思いました。



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