家族介護の問題、ご両親の想いとは

家族介護の問題、ご両親の想いとは

今日は 私の部屋の片隅に 飾ってある
色あせた ピエロの人形のお話をしましょう 。

何年か前 あるおばあさんから
「先生 私を忘れないでね」
と頂いたお人形です。

ピエロの顔は 少しもの悲しい 半泣き顔です。

このハルさんは 当デイケアに
開設当初から ご夫婦で通所されていました。

ご主人は 軍人さんで少佐をされていたとのこと、
そのため 奥さんや息子さん達には
大変厳しかったようです。

このご主人は 脳梗塞を患い 会話は ままなりませんが
立派な体格と りりしい風貌は 当時の威厳を感じさせます。

さらに
生来の性格と 体の不自由からくる苛立ちから
その頑固さは 強くなったようです。

しかし リハビリをする私に対しては
一線ひいて下さり いつも穏やかで
時には可愛い笑顔を見せることもありました。

ただ 時折見せる厳しい表情には
奥さんのご苦労を 垣間見ることが出来ました。

そして ご主人のリハビリと並行し
時々奥さんの愚痴も聞いたりして

リハビリというには 程遠い
リラックスした時間を過ごしていました。

私自身は
このご主人の頑固さが 少しでも治まり
奥さんの気持ちが少しでも 楽になるように
それだけを願っていました。

当時は この3人の静かな時間がずっと続くことが
当たり前のように 思っていました。

でも事態は 想像もできない方向へと 流れて行きました。

ご主人が 軍隊仕込みの立派な体格であること
奥さんが 大和撫子の様な 華奢な方であること
そして 息子夫婦から
「この両親の介護が出来なくなった」と言われたことから
デイケアを中止することになったのです。

奥さんは泣きながら
ご主人と共に施設に入ること
私が ご主人に 分け隔てなく 接していたことにお礼を言い
まもなく 私のもとを去りました。

後から知ったのですが
このご主人 相当の偏屈屋さんだったらしいです。

だから さじを投げた息子さんご夫婦の気持ちは
誰もが理解していました。

私は そんなこと 露とも知らず
「ちょっと 頑固なおじいさん」として
何も疑うことなく 接していたのです。

奥さんは そんな私に対して嬉しかったのでしょうか・・

今 部屋の片隅で座っているピエロの人形の目は
月日が流れた今でも どこを見ているのか
私には 分かりません。

このピエロ
「道化師」とのレッテルを貼られていますが
ホントは 普通の人形なんです。

「怖がらないで 普通に接して。」
と言っているような そんな気がします。

みんながみんな
可愛いおじいさんやおばあさんではありません。

でも、ホントはみんな
可愛いおじいさんやおばあさんになりたいのです。

だから
こわおもて のおじいさんも ちょっとした瞬間に見せる
かわいらしさを
どうぞ 見落とさないで下さい。

とても難しいかもしれませんが
そんな瞬間って 必ずあると 思います。

そして これが 気持ちが伝わる 第1歩だと思います。



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