知的障害を抱えた家族の介護と、その思い

知的障害を抱えた家族の介護と、その思い

人は当たり前のように 字を読み 書き 喋ります。

でも 生まれながらに 知的障害を持っていると
その当たり前が とても大変だったり
出来ずに 苦しんだり諦めたりします。

今日は 知的障害を抱え
同じ障害をも抱えた娘を
もったおじいちゃんのお話をしましょう。

このおじいちゃんはいつも ニコニコと笑顔です。

若い頃はその人柄のよさで 周囲の人達から
とても可愛がられていました。

このおじいちゃんには
同じ障害を持った奥さんがおいでました。

そして、この奥さんの晩年は ご自身で看病され、
見送りました。

今 自分と同じ障害をもった30歳を過ぎた娘さんがいます。

ご自身も民生委員やヘルパーの援助で生活しているため
この娘さんは施設に預けられています。

私がリハビリをするため おじいちゃんの所にいくと
いつもニコニコと手を出します。

私は決まって おじいちゃんの手をとり
ふたり 手をつないでリハビリ室までの短い距離を
歩いて行くのが日課です。

このおじいちゃんの笑顔が 私は大好きです。

まるで 気持ちが洗われるような
包みこまれるような 安心感が出てくるからです。

でもそんなおじいちゃんから
笑顔が消えた時がありました。

ある日 私がお部屋まで迎えに行くと
私の顔を ジーッと見て 立ち上がろうとしません。

何かを言いたいのですが 自分の思いをうまく
言葉で表せないのです。

いつもと違う 胸騒ぎがしたので
「なにか あったのですか」
と尋ねても 身動きせず 空をみています。
「娘さんに 何かあったのですか」
と聞いたすぐに
突然 おじいちゃん両目から 涙がこぼれてきました。

母親もいない
自分も父親らしいことができない苛立ちでしょうか。

施設に残した娘が不憫だったのでしょうか。

心の内を話そうと 何度も口を開けているのですが
モグモグと動かし 溜息をついて
下を向いてしまいます。

言葉でうまく表現できなかったようです。
そして とうとう
ご自分の気持ちを話されることはありませんでした。

言葉の量が少なく表現力が及ばないため
自分の気持ちを伝えられない。

少年のような 純粋さをもっているのですが
心は大人で 父親であり、そのはざまゆえ苦しいのです。

笑顔で日々コミュニケーションを取っていた方が
突然 コミュニケーションの手段
いえ媒体である笑顔が消えた時
一体どうすればいいのでしょうか。

手を握り、寄り添い 話しかけ
自分のもっている あらゆる形で近づこうとしましたが
おじいちゃんの 心の声は聞きとることはできませんでした。

おじいちゃんの中から
湧き出てくる 訴えを くみ取ることが出来なかった
この自分の力不足に
ただただ もどかさを感じた出来事でした。



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