リハビリで寝たきりから回復。でも生きることが辛い

リハビリで寝たきりから回復。でも生きることが辛い

施設の中にいると

入所者さんの生き様を 生々と見ることがあります。


施設ケアマネに連れられて訪ねた タイコおばあさん

80少し前の体は 力なく痩せ細り 

ひとりで起き上がることも出来ません。

 

しかし 頸から上はしっかりしており、 

会話も問題なく出来ますし、

頭もなんら落ち度はありません。

ただ 体が動かないのです。


筋力は低下しているのに、下肢はパンパンにむくみ

寝返りはもちろん、足を自分で ずらす こともできません。

まるで1枚板のようになった体の中で

かすかに動かされるのは 両手を少し上げるだけです。


ケアマネさんから紹介されると

「待っていたんです。お願いします。」と哀願する目に

私自身は 少し物怖じさえ感じました。

一体この方に何をすればいいか 皆目検討もつかず

根拠もないまま 硬くなってむくんだ足を 

ゆっくり動かし つたない話を始めました。


ゆるゆると ご自分の事を話される タイコおばあさん

「なんで こんな体になったのでしょうね。

1年前までは まだつかまりながら 歩けたんですよ。

骨折して 肺炎になって 

半年ねたきりになったら こんなになって。」


私は リハビリはもちろん機能訓練にならないまま

とにかく なんとかベットから起き上がるだけでも 

自分で出来る様になってほしい。

そんな ささやかな願いを持って お部屋に毎日顔を出しました。


タイコおばあさん なんとか 一部介助で座れるようになったら

突然 顔を横に向け 泣き出すのです。

座れるようになって喜んで泣いたのかと思ったら

「こんな 体になっても 

まだ生きなければいけないんですね。」


思わぬ言葉と涙に 私の手は止まりました。

「座れるようになったから出来る事が

少しづつ増えてきますよ。」

と話すと

「でも 自分ひとりでは何もできない。

ひとり部屋で天井みながら 

こんな日がまだまだ続くかと思うと

私の人生って なんだったのかと思う。

このまま死ねたら どんなに楽かといつも思って・・・」

もう 流れる涙をとめることはできません。


生きるために やってきた施設のはずが

いつのまにか 死を待ち続けるだけの 

悶々とした空間になっている。


真新しい部屋と 明るい日差しは

全く動けない タイコおばあさんには 別世界なんですね。


孤独という 風船の中で 自分の気持ちに関係なく

風に流れて フワフワ生きている

そんな施設の生活が 悲しくて虚しくて たまらないのです。


家族がいても 尋ねてくることもなく

お金があっても使うことも出来ず


ただ死ぬことだけを 目的に生きている

そんなタイコおばあさん


これから私は

どれだけあなたに近づく事ができるでしょうか。


少しづつでも 与えられた時間を 一緒に過ごしましょうね。


「先生 忙しいのに すみません」

と頭を下げる 瞳の奥に 甘えを感じるのは

思いすごしでしょうか。



介護でお悩みの方へ

介護ママの伝えたい介護のツボは、
介護でお悩みの方のお力になりたいと考えています。

どうしたらいいか分からないなどお悩みのことがあれば、
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可能な限りお力添えさせていただきます。


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24 Responses to “リハビリで寝たきりから回復。でも生きることが辛い”

  1. 必要とされている事が生きがいだと聞きますね。
    タイコおばあちゃんも、きっと誰かの生きがいになっていると思います。それに気付く日が来て、生きる事に喜びを感じてくださると良いですね!
    介護ママさんを必要としているタイコおばあちゃん、介護ママさんの思い上がりなどでは決してないと思います。甘えられる人が出来た事も生きる喜びに繋がるんじゃないでしょうか?
    そうだと良いなあ(*^▽^*)

  2. 介護ママ より:

    >☆こいちゃん☆さん
    いつもありがとうございます。生きる喜びを見いださせてあげることも、ケアの役割なんですよね。

  3. のうえん より:

    96226人間っていうものの、本質を考えざるを得ません。
    なぜ、楽しく人生を謳歌する人がいれば、一方で
    死ぬ為に生きるという事の苦しみを味わう人がいるのでしょうか?
    タイコおばあちゃんの今の人生は僕のような部外者にも大きな悲しみを感じさせずにはおられません。
    おばあちゃんの思いを考えると、涙を抑える事も出来ません。
    介護ママさんもこの事の重みをずっしりと受け止められているものと思います。
    ママさんにはおばあちゃんが生きてて良かったと感じて頂くような難しい行動が要求されますね。
    まさに言うは易しく、行なうは至難の業です。
    しかし、ママさんの優しさ、思いやりでおばあちゃんもきっと今とは違った思いが沸き起こるのではと、信じて疑いません。おばあちゃんが幸せの気持ちになれば
    それは直ぐにママさんの喜びに繋がることでしょうね。
    ママさん、おばあちゃんを幸せに導いてください。

  4. making777 より:

    僕は、幼少の頃は9人家族でした。祖祖父母、祖父母、両親、兄弟僕を含めて3人の9人です。
    そんな中で一番大切なのは家族の健康でした。
    でも、年が経つにつれて僕が覚えているのは、家族のふれあいでした。誰かが病気や怪我をすれば、家族一丸となって助け合う。気を使うということを自然に身につけることが出来ました。核家族と言われる家族が増えやはり家族内でも希薄になりがちな触れ合い助け合いの精神。介護ママさんが今、ちょっとでも頼られる存在になってあげてください。精神介護と言われる部分が大切かと思います。生意気なコメントですみません。

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