嫁の悪口をいわない御姑さん

年配の女性が集まると

どうしても嫁の愚痴になる事が多いのは 仕方ないのでしょう。


デイでも 例外ではありません。

同じテーブルに座っているヒロミさんは

ついつい 孤独から来る苛立ちで 嫁の悪口をいってます。


そんな中 相づちをうつこともなく

静かに座って 耳を傾けているおばあさんがおいでました。


どことなく 凛とした雰囲気は

他の方とは違う 芯の様なものを感じました。


ある日 ヒロミさんは 孫が自分を大事にしてくれない

嫁の躾けが悪いと 愚痴っていた時です。

「あんたさんとこはどうかいね」と タカコさんに聞いたのです。

すると タカコさん

「私のとこは違う。孫が私を大事にしてくれる」と言われました。


実は タカコさんは 息子さんを 30歳(息子さんが)の時に亡くされたのです。

当時 息子さんの長女は5歳 長男は1歳でした。


まだ小さなお子様2人を抱えたお嫁さん

気丈にも喪主となり お葬式をされました。


しかし気丈に振る舞う姿が 痛々しかったのでしょう。

その席上で 実家のお母さんは 娘に

子供2人を連れて 家に戻るように言ったのです。

親として 30前に 未亡人になったのですから

耐えられなかったのでしょう。

しかし お嫁さん 母親の再三の説得にも 首を縦に振らず 

「ここに残る」と言い張りました。


それから 30年 再婚もせず 女手でお子様を育てたのです。


亡くなったご主人のご両親と同居し

自分の子供を ご主人のお母さんに見てもらいながら

自分は 働きに出ました。


だから 子供さんは おばあちゃんっ子です。

お母さんの苦労も おばあちゃんの苦労も見てきてるから

どちらも大事にするのは当たり前


その話を いつも嫁の悪口ばかり言ってるヒロミさんに

タカコさんは 話していました。


黙って聞いていたヒロミさん

いつのまにか 涙を流して聞いています。


離れた席で 背中を向けて聞いていた私も

なんだか 胸が熱くなりました。


嫁と姑のいさかいは 大昔からあることかもしれません。

でも どちらかの 強い気持ちで

支え合い 助け合うことが出来るのだと

タカコさんの話を聞きながら 思いました。


そして 悪口も愚痴も 感謝も 

自分自身にあるのかもしれないと タカコさんをみて思いました。


私も いずれはタカコさんのような

お姑さんになろうと 思いました。



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