認知症ケア 同じ訴えを繰り返すおばあちゃん
今日は、同じ言葉を繰り返す方のお話しをします。
朝、車椅子でデイケアに到着してすぐに
「しんどい」「しんどい」と 言い続けるキミさん。
「どこがしんどいのですか」とスタッフが聞いても
「しんどいんや」と繰り返すだけ。
ベットで休んで頂いても
起き上って「しんどい」を繰り返すし
そばに座っている利用者さん達が
心配して、オロオロし始めました。
「この人 さっきから しんどいって言っとるやろ」と
スタッフに怒り出す利用者さんまで出てくる始末です。
これではスタッフもお手上げです。
これは、まさに 悪の相乗効果です。
なんとかしなければ。
こんな時ってありませんか?
同じ言葉をオウムのように繰り返すのは
病気からきているもの
抑えることは困難です。
そこはお医者様の領域です。
そこを超えて、なんとか抑えられないかと格闘するのは
スタッフが悩み苦しむだけです。
こんな時は考え方を変えてみてください!
「繰り返して言うのなら、
聞いていても差し支えない言葉でならいいでしょう」
まずは「しんどい」を止めたいですね。
「キミさん、しんどい しんどい といってると
お父さん(ご主人)心配しますよ。」
「そうか 心配するか」
「そうですよ。デイの皆も心配しますよ」
「そうか心配するか」
「心配かけたくありませんよね」
「心配かけたくない」
「じゃあ しんどい は言わないでおきましょう」
「しんどい 言わんのか」
「○○さんがしんどいのは十分わかりますよ。」
「わかるんか」
「そうです。毎日しんどい体で頑張っているのわかりますよ」
「わかるんか」
「はい、すごくわかります。
でも しんどいを言うとみんな心配しますよ」
「心配するんか」
「はい、心配かけたくないですよね」
「心配かけたくない」
「じゃあ しんどいは言わないでおきましょう」
「じゃあ 言わんわ」「じゃあ 言わんわ」
この会話を最後に「しんどい」はなくなりました。
そのかわり 「まだか」「まだか」にかわったのですが・・・
でもいいじゃないですか。
「しんどい」はそばで聞いている人たちが
動揺したり、不安にさせます。
でも、「まだか」は、スタッフが「まだですよ」で軽く聞き流せます。
(ちょっと大変ですがね。)
同じ言葉を繰り返す方は、
その原因が病気の症状と考えるなら
この症状をもったまま
いかに集団で適応できるかを、考えてみましょう。
キミさん、
やみ雲に「しんどい」を言っていたのではありません。
体が辛かったから 気づいて欲しくて 言い続けたのです。
同じ言葉を繰り返す方は
繰り返す症状よりも、
繰り返す「言葉」に意味があります。
訴えている「言葉」に耳を傾け
その苦しみを受け止めてあげてください。
辛さを共有することは 辛さを分け合うことになります。
今日も、利用者さんの小さな言葉に
耳を傾けてみて下さい。
見えないものが見えてくることがありますよ。
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